2018年9月21日から配信開始となった「マニアック/Maniac」。
「TRUE DETECTIVE/二人の刑事(シーズン1)」のキャリー・フクナガが監督を務め、「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーンと「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のジョナ・ヒル共演作ということで配信前から注目を集めていて、配信開始後もIMDbで8.3、Rotten Tomatoesで84%(2018年9月28日の時点)と高評価を獲得。
頭の中の世界と現実が交差する独特な世界観が話題となっていて、伏線など細かいこだわりが多く見られることも注目ポイント。
そんな「マニアック/Maniac」を視聴した人が見逃しているかもしれない15の事柄をご紹介します。
※以下は「マニアック/Maniac」のネタバレを含むのでご注意ください。
1.ジョナ・ヒルが演じたオーウェン・ミルグリムの苗字に注目
ジョナ・ヒルが演じたのは総合失調症に苦しむオーウェン・ミルグリム(Owen Milgrim)。
一方で、実在したアメリカの心理学者の名前はスタンレー・ミルグラム(Stanley Milgram)で、閉鎖的な状況で権力者の支持に従う人間の心理実験ミルグラム実験を行ったことで知られている。
作中にはナチスの裁判のようなシーンが登場するが、ミルグラム実験はユダヤ人を絶滅収容所に輸送する責任者アドルフ・アイヒマンの裁判がきっかけとなっている。
2.冒頭のワンシーンにミルグリム家のバックグラウンドが
第一話の冒頭でお金を盗むエマ・ストーン演じるアニー・ランズバーグ。
そのボックスには新聞が掲載されていて、ヘッドラインは「Bladdergate:Milgram Poop Bot Empire in Peril」。
ミルグリム家は清掃ロボットのPoop Botを製造していることと、裁判中であることが示唆されている。
3.オーウェンのルービックキューブはアニーが与えていた
上記のシーンのすぐ後でミルグリム家のビルの前の物に興味を示すアニー。
アニーはルービックキューブを手に取るも、後ろに放り投げるが、それをビルに入るところだったオーウェンが拾っている。
また、キャリー・フクナガは作中に登場するルービックキューブについて「どのように動作するか理解していない人にとっては難解なものだが、理解している人は一瞬で解決してしまうもの。オーウェンはヒーロー願望のある孤独な人間。特別なものが見えてしまうが、それから目を逸らすために常にルービックキューブをやっている」と語っている。
4.作中に度々登場する小説「ドン・キホーテ」
上記のようにアニーはルービックキューブを放り投げた後、ドン・キホーテの小説を手に取っている。
第五話ではアニーとオーウェンがドン・キホーテの秘密の章を探すことになり、アニーの妹エリーは12歳のときにドン・キホーテを読んでいて、父親が「賢い」と褒めていたことを明らかにしている。
キャリー・フクナガは「ドン・キホーテの現実世界の崩壊とミゲル・デ・セルバンテスの本にある教訓は両方のキャラクターを映し出している」と語っている。
5.幻想の世界にも現実世界の警備員が登場
上記のようにビルの前で物に興味を示していたアニー。警備員に注意されると、アニーが「警察の人(Are you a cop?)」と言うと、警備員は「権威に大きな違いはない(Not much of a difference authority wise)」と答える。
第四話でその警備員は野生生物局員として登場し、アニーに同じセリフを言っている。
6.ドクター・グレタ・マントルレイ
精神を病む患者を治療するコンピューターのAIの生みの親の一人であるジャスティン・セロー演じるドクター・ジェームズ・マントルレイ。その母親でコンピューターのAIの鍵となる療法士のサリー・フィールド演じるドクター・グレタ・マントルレイ。
ドクター・グレタ・マントルレイが登場するのは物語の中盤からだが、オーウェンはその前から現実世界でドクター・グレタ・マントルレイ著の「No Fix、Just Bliss」を読んでいて、幻想の世界でも早くから登場している。
7.作中に溢れる「9」と「1」
被験者は1から9に分けられ、1番がオーウェン、9番がアニーとなっている。
そのほかにも作中には「9」と「1」が溢れていて、第四話に登場するオーウェンが着ている服に「1」、さらに車のプレートが「O19 91A」、第五話でトランプの手品を披露するオーウェンが提示したのは「ハートの9」、第七話で登場するオーウェンの父親が経営する「ミルグリム遺跡」の建物の住所が「1101」、第九話でアニーは「9階」にいるオーウェンを救出するなど。
8.月(ムーン)
第四話でオーウェンは元NFLの選手ウォーレン・ムーンのシャツを着ている。
第五話にも複数のキャラクターなどが月(ムーン)を示唆していて、第八話では湖の目印となる月を探している。
9.オーウェンと鷹
オーウェンは傷を負った鷹を救ったが、兄弟には馬鹿にされていて、その鷹は治療から回復すると、オーウェンが9歳の頃、兄ジェドのペッドであるスナネズミのアーニーを食べてしまう(オーウェン自身は兄ジェドに立ち向かえないのに、それができた鷹は勇気、自由の象徴)。
また、第八話でオーウェンは鷹になり、毎エピソードのエンドクレジット後Paramount Televisionのロゴが表示されると、ジョナ・ヒルの「Annie、I'm A Hawk!」というセリフを聴くことができる。
10.オーウェンとSnorri
第一話でオーウェンはSnorri AgnarssonのIcelandic Fishの「選ばれし者らしく食べろ!」という広告を目にする。
第九話においてオーウェンの幻想の中での人物名はSnorriで、選ばれし者としてルービックキューブで世界を救う。
11.オーウェンもアーニーを殺害
上記のようにオーウェンが保護していた鷹は兄ジェドのペッドであるアーニーを殺害してしまうが、第九話ではオーウェン自身がパーティーで誤って宇宙人のアーニーを感電死させてしまう。
12.最終話で第四話の幻想の世界が再登場
第四話の幻想の中でアニーとオーウェンはキツネザル(Lemur)のウェンディ(Wendy)を探すが、最終話でオーウェンがいる精神病院を訪れたアニーが受付でサインすると、Wendy Lemuriaの名前が。
解釈は様々だが、最終話は現実世界に見えるだけでまだ架空の世界なのでは?という解釈も。
13.キャリー・フクナガ監督作「TRUE DETECTIVE/二人の刑事」のアイテムが再登場
キャリー・フクナガが監督を務め、エミー賞でドラマシリーズ部門最優秀監督賞を受賞した「TRUE DETECTIVE/二人の刑事(シーズン1)」。
作中には「BIG HUG MUG」のロゴが入ったマグカップが登場するが、「マニアック/Maniac」でも最終話で同じマグカップが登場している。
14.タイトルのロゴがIBMと酷似
「マニアック/Maniac」のロゴとアメリカのコンピュータ関連企業IBMのロゴが酷似している。
15.最終話は現実?まだ幻想の中?
■最終話が幻想だとする理由
- 第六話でオーウェンはアニーに理想の空想として「僕ら2人でどこかに行こうとしている。車で凄いスピードで走っていて、知らない誰かに追いかけられている。逃げている感じだけど、僕は笑って、満面の笑顔を浮かべている。笑い過ぎて苦しくて、僕ら2人だけで助け合っている」と、すでにドラマのラストシーンのような空想を語っている。
- 第八話でオーウェンは”7”人の子供の父親になっている。最終話でドクター・ジェームズ・マントルレイは母親グレタをランチを誘うが、グレタは「ブックツアーで”7”大陸に行かなければいけないから、しばらくは会えない」と断る。
- 最終話のエンドクレジット後のラストシーンが、オーウェンとアニーが乗る車とアズミとドクター・ジェームズ・マントルレイが乗る車が逆方向に交差し、Poop Botに乗る鷹と小さなチワワ(アニーは7年前に妹エリーの犬を失くしている)が現れる。
ソース
2018年9月28日